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「インポッシボーーーーー!!」ザクロの悲鳴にもにた叫び声を右手後方に聞きながら、サツバツナイトはなおも助走の速度を増した。より高く、速く飛ぶために。ザーッ、と耳元のインカムにノイズが走り、YCNANからの緊急IRC通信が入る「……奴ら完成させていたのね。タケウチ弾頭よ……」 56 posted at 00:03:23 「……そのようだ」サツバツナイトが短く返す。ドラゴン・ドージョー壊滅の暗いイメージを振り払いながら。「……どうするつもり?」とYCNAN。「……向かって走っている」「……正気なの?蹴り返すつもり?」「……そこまで狂ってはいない」彼は助走に集中し、それ以上返事を返さない。 56 posted at 00:14:15 (((そこまで狂ってはいない)))サツバツナイトはエロチック雑居ビルの灯篭を蹴り渡り、もう一度心の中で呟いた。残されたカラテを振り絞り、駆ける。ミサイルを睨みながら。(((孤軍奮闘というわけでも……ないようだ)))彼はゼン・トランス屋上で狙撃銃を構えるタギザワの姿を見た。 57 posted at 00:20:05 彼は死の淵にあった。サンズ・リバーに片足を突っ込んでいた。ミサイル飛来を告げるザクロの叫びが、彼を正気づかせた。そのような時にこそ、人はヤバレカバレの力を振るえる。彼は自分の正気を疑った。ミサイルを狙撃するなど、正気の沙汰ではない。だが彼は行動した。ボルトを引き、射撃した。 58 posted at 00:31:02 石粒のように小さな弾丸は、ブツメツ・ミサイルの尾翼を霞めて、弱弱しい金属音を鳴らした。しくじったな、と彼は直感した。だが、あながち無駄でもなかった。微かに軌道が変わった。自動制御プログラムが働くまでの一瞬、理想的な飛行角度を生み出す。横の胸壁を蹴って、黒いニンジャが跳んだ。 59 posted at 00:35:48 その光景を見たとき、ザクロは衝撃のあまり卒倒した。サツバツナイトがゼン・トランス屋上から高く跳躍し、ブツメツ・ミサイルの尾翼にしがみついた。体勢を整える。言うことを聞かせる。まるでロデオだ。軌道がさらに変わる。ミサイルがニチョーム・ストリートの地面すれすれを飛んでゆく。 60 posted at 00:39:30 まだ奥の手がある。凄まじい風圧に対抗しながら、サツバツナイトは高性能IRC通信機からLANケーブルを延ばした。「非常識な」と書かれた金属板を強引にこじ開け、中から現れた端子にLAN直結する。YCNANが即座に飛行制御プログラムを書き換え……無線による緊急爆発を防ぐ。 61 posted at 00:44:53 家屋に激突する寸前でミサイルの軌道が変わる。上空へ。地上に着弾させるには余りにも危険な代物だ。着弾すればタケウチ・ウイルス改善は周囲数キロに拡散する。飛散したウイルス自体は数時間で死滅するが、サツバツナイト本人だけでなく、ヤモトやザクロを死に至らしめるのに十分すぎる時間だ。 62 posted at 00:50:09 いま、目の前を、ミサイルが飛び去っていった。ヤモトは唖然として、その軌跡を見つめていた。そしてそれは、再び上空へと……消えていったのだ。 63 posted at 00:56:36 ---------- 64 posted at 00:56:45 「何が起こっている!?何故着弾しないんだ!?」チバは、マイナスに変わって久しい着弾秒読み数字を睨みながら、怒り狂っていた。わずか一瞬だけ放った父譲りの覇気は、既にどこかへと消えていた。IRC通信を戦闘機ニンジャに送る。「もう一発だ!もう一発撃ち込め!デストロイヤー=サン!」 65 posted at 01:00:44 「コーッ、シュコーッ!了解です」デストロイヤーは冷静にかつ冷酷に通信を返した「只今緊急旋回を終了し、再びニチョーム攻撃可能空域へと……コーッ、シュコーッ!そんな……まさか!?あれは……!」突如、激しい混乱を見せるデストロイヤー!どよめき立つ秘密基地!「何だ!?一体何が!?」 66 posted at 01:04:48 「カメラを切り替えろ」アガメムノンが情報解析ヤクザに命令を下す。直後、戦略UNIXに映し出されたのは、戦闘機の前方から高速接近するブツメツ・ミサイル!しかもその上には、サーフィンめいた姿勢で立つ謎の黒ニンジャ!「ズームしろ!」チバが命ずる!そのメンポには「殺」「伐」の文字! 67 posted at 01:07:56 「イイイイヤアアアアアアアアーーーーーッ!」YCNANのハッキングと、サツバツナイトによる軌道微調整により、ミサイルは戦闘機へとまっしぐらに飛ぶ!「コーッ!シュコーッ!コーッ!シュコーッ!アイエエエエエエエ!アイエエエエエ!」デストロイヤーは正気を失い、目を剥いて絶叫する! 68 posted at 01:12:19 インガオホー!アマクダリ秘密基地の巨大UNIXモニタには、デストロイヤーと戦闘機の爆発四散を意味する、横殴りのノイズが映し出されていた!「ウアアアアアアーーーーーーッ!ウアアアアアアアーーーーーーッ!」チバは泣き叫び、棚のコケシやペーパータイガーを乱暴に薙ぎ払って落とす! 69 posted at 01:16:11 アガメムノンは沈思黙考の姿勢を崩さぬまま戦略チャブを見つめ、次なる一手を練った。今回の失敗は、大きな問題にはならない。大局で見れば、プラスになるだろう。ラオモト・チバが思っていた以上に使える駒であることが解ったからだ。「……サツバツナイトも……正体不明のまま死んだ……か?」 70 posted at 01:21:44 ……そう、サツバツナイトもまた、ニチョーム・ストリートを守るために犠牲となり、地上数百メートル上空で散ったのか?……否、いかなる監視カメラも、その瞬間を捉えることはできなかっただろう。着弾直前の跳躍で爆炎を逃れ、撒き散らされたタケウチ・ウィルスからも逃れた、ひとつの影を! 71 posted at 01:26:02 賭けに勝利したその影は、額の汗を風圧で拭い、黒ニンジャ装束を脱ぎ捨てる。中から赤黒いニンジャ装束が現れた。そして百メートル下を飛行していたマグロツェッペリンに向け、ドウグ社の鉤付きロープを投げ放った!「Wasshoi!」放物線を描き上昇する彼の正体は……ニンジャスレイヤー! 72 posted at 01:31:26 そう、ニンジャスレイヤーである!彼はニチョームとの関係性を否定すべく、サツバツナイトを名乗り戦っていたのだ!「Wasshoi!」ドウグ社の鉤付きフックロープを駆使して、彼はマグロツェッペリンの上へと回転ジャンプして着地し、そのままネオサイタマの夜闇へと消えた! 73 posted at 01:35:14 「良かった……ニチョームは……守られたんだ……」ヤモトは遥か上空を見上げながら、そう呟いた。目が霞む。限界だ。ヤモトは緊張の糸が切れたかのように、ふらりと背後に倒れそうになった。それを支えるアサリ。戦闘が終わったと見た彼女は、一目散に外に駆け出し、手を握り合っていたのだ。 74 posted at 01:38:57 未だストリートに出てきている民間人は一人もいない。自警団員ですらも。ほとんどヤバレカバレで、外に駆け出してきたのだ。アサリの足もおぼつかない。言葉もなく、そのまま血の海に二人、腰を下ろした。膝の上に、ヤモトの頭。目を閉じて寝息を立てるヤモトの顔を見て、ほっとしてまた泣いた。 75 posted at 01:43:49 ……その時!数メートル離れた路地裏の影に、アサリの背を狙う銃口あり!「ザッ……ケンナコラー」何たるしぶとさか!下半身を切断されたアサルトヤクザが上半身を起こし、震える右手でチャカ・ガンを握っていたのだ!ブッダ!寝ているのですか!?ザクロも自警団員もこの脅威に気付いていない! 76 posted at 01:46:32 ようやく再会を果たしたヤモトとアサリ……そのユウジョウは、最悪の形で引き裂かれてしまうのか!?……その時!遅れてきた男が路地裏へと静かに降り立ち、両手を突き出してカラテ・シャウトを放った!「イヤーッ!」「アババババババア-ッ!?」生命力を吸収され絶命するクローンヤクザ! 77 posted at 01:49:53 アフロヘアーのシルエットを持つその謎めいた男は、アサリがクローンヤクザの絶叫に気付くよりも速く、背を向けて再び路地裏の闇に消えた……。 78 posted at 01:57:01 「サツバツ・ナイト・バイ・ナイト」#8終わり エピローグである#9に続く(だが今日ではない) posted at 01:58:35
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ posted at 14:16:50 第3部「不滅のニンジャソウル」より 「サツバツ・ナイト・バイ・ナイト」#8 posted at 14:18:07 (これまでのあらすじ:ヤモト・コキとネザークィーンの守るニチョーム・ストリートに、アマクダリの魔手が迫る!バイセクター、ディスエイブラー、スペクターの3ニンジャが、ストリートを急襲したのだ。ニチョームを危険にさらさぬため、接触を躊躇うニンジャスレイヤー。窮地に陥るニチョーム勢!) posted at 14:21:05 (アキレス腱を引き裂かれ戦闘不能のザクロ!スペクターからカラテ段位ドレインを受けるヤモト!彼女らの危機を救うべく現れたのは、サツバツナイトを名乗る謎のニンジャであった!趨勢が変わる!ヤモトは息を吹き返すと、親友アサリを救出し、スペクターに一千発のオリガミ・スリケンを叩き込んだ!) posted at 14:24:10 夜桜を見上げ、一瞬の静寂。直後に再開するイクサ!「イヤーッ!」ディスエイブラーの大振りフックをかわし、その腕の上からさらに跳躍するサツバツナイト!続けざま、バイセクターに対し鋭角トビゲリを叩き込む!「イヤーッ!」「グワーッ!」完璧なガードの上からでも漆塗りサイバネ義体が軋む! 1 posted at 14:35:35 サツバツナイトは着地の隙を消すべく、六連続の側転に空中回し蹴りアクションを挟んでフック鎖を蹴り返し、タタミ5枚の間合いでジュー・ジツを構えてバイセクターと睨み合う。その時、上空で小爆発が起こった。「……サヨナラ!……」スペクターが爆発四散し、ネガティブ・カラテが散ったのだ。 2 posted at 14:44:05 爆煙の中から緩やかに旋回して舞い降りるのは、カタナを構え、桜吹雪めいた燐光を纏う少女。サツバツナイトの瞳が一瞬、フォーカスを絞られたカメラアイの如く変わる。額に滲む汗。シ・ニンジャのソウルを色濃く感じ取る。(((……生かせばいずれ禍根を残す……)))古い警句が脳裏に反響する。 3 posted at 14:52:31 旋回着地したヤモトは、コンパスめいた姿勢で伸ばした右足を一回転させ、カタナを水平に構える。死神めいた決然たる表情。カラテが全身を駆け巡る。失われたはずのカラテが、戻った。シ・ニンジャは亡霊からそれを奪い返した。まだ戦える……彼女は小さく呟いた……戻ってきた、みんな戻ってきた。 4 posted at 15:01:47 シ・ニンジャならば、敵全員をサンズ・リバーに流せたかもしれない。大勢の犠牲とともに。だがこの女の死神は、未だ発展途上で、礼儀正しく奥ゆかしくあった。ヤモトは多くの物事に短い感謝を告げ、ディスエイブラーへと低姿勢で駆け込む。砕けかけたウバステの刀身に、桜色の灯りが色濃く燈った。 5 posted at 15:08:49 ヤモト目掛け、円盤を投擲せんとするバイセクター。だがサツバツナイトが弾丸のように間合いを詰めてそれを妨害し、畳1枚の距離でカラテを交える!「「イヤーッ!」」その瞳は、黒い人間のそれに戻っていた。「……オヌシの相手は、この私だ」「……ヨロコンデー」無表情の機械音声は何を思うか。 6 posted at 15:17:16 (((大丈夫だ……信じよう)))カラテを打ち交わすサツバツナイトとバイセクター!斜め上方の大電光ネオンカンバンでは、花火を背景に大きなサシミがショーユに浸される映像が再びループし、「味これが大好き!!」の文字がレインボー点滅していた。(((センセイが私を信じたように……))) 7 posted at 15:25:38 二者はいつしか路地裏へと戦いの場を移す。バイセクターは相手をデッドエンドへと追い込み、ギロチン・チャブを縦投擲した。「イヤーッ!」割れる電子音声。かつて彼は、大型スリケンをブーメランめいて投擲するという戦闘スタイルを取っていた。細い路地裏ではそれが仇となった。だが、今は違う。 8 posted at 15:32:58 アスファルトに火花。猥雑に張り巡らされたLANや配管を切断しながら、パンヤンドラムめいた威圧感で地を這うギロチン・チャブ。サツバツナイトは学ぶことになった……生かせば禍根となる。高い代償だ。回避すべく跳躍した所へ、温存されていたバイセクターのサイバネ・トビゲリが突き刺さった。 9 posted at 15:43:14 「イヤーッ!」「グワーッ!」黒漆塗りの金属爪先が、サツバツナイトの鳩尾を深々とえぐる!さらに、背後へと転がっていったギロチン・チャブは、そのままデッドエンド壁を垂直に駆け上って空中に飛び、狙い済まされた軌道でサツバツナイトの背中を切り裂いた!ナムアミダブツ!「グワーッ!」 10 posted at 15:47:30 「イイイヤアアアーッ!」そのまま空中でサイバネ上半身を360度捻り、1秒後に猛烈な回し蹴りを放つバイセクター!その狙いは仇敵の首級!「ストライク!」憎悪の込められた電子音声が壁に反響する!……だがその足首はサツバツナイトの腕でガードされ、抱え込まれた!「サツバツ!」 11 posted at 15:58:48 サツバツナイトの両眼は再び、赤黒い光の軌跡を中空に描き始めていた。バイセクターは恐怖した。失われたはずの背中に、怖気が走る感触。その恐怖を、怒りとソウカイ・シックスゲイツの矜持で塗りつぶす。「イヤーッ!」口元のサイバネメンポが左右に展開し、吹き矢めいた円筒形の舌が突き出す! 12 posted at 16:03:50 だが毒針が射出されるよりも一瞬速く、サツバツナイトの無慈悲なチョップが敵の顎ごとそれを破壊した。過去の亡霊を、過去の悪夢を振り払うように、サツバツナイトは力強くそのチョップを水平に振り切った。「イヤーッ!」「グワーッ!」激しいノイズが、アマクダリ秘密基地へと叩きつけられる! 13 posted at 16:07:54 バイセクターは胸板を蹴って緊急回避。両者は路地裏に着地し、カラテを構え直した。「……サンシタ風情が粋がるでない」夜の化身はジゴクめいた煙を吐き出し言い放つ「……たとえオヌシに千の奥の手があろうと、叩き潰し、踏みにじり、殺す」背の傷は密かに黒炎で焼かれ炭化し、止血されていた。 14 posted at 16:17:57 一方メインストリートでは。ヤモトがディスエイブラーに対して、ジリー・プアー(徐々に不利)な戦いを強いられていた。投げつけられる鎖を回避し、懐へ飛び込む。そして斬りつけるが……「イヤーッ!」「イイーッ!」浅い!その苦痛はむしろ、イタミ・ニンジャクランにとってはオハギも同然! 15 posted at 16:27:53 「イヤーッ!」ヤモトは素早い側宙で距離を取った。怪力を振るう巨漢ニンジャ相手に接近戦を続けるのは分が悪い。しかも戦闘経験に乏しいヤモトは、イタミ・ニンジャクランのジツを未だ理解できてはいないのだ。「小娘!貴様のイアイドーなど、剃刀を噛んで歯肉を裂くほどの痛みしか感じんぞ!」 16 posted at 16:36:18 それは暗喩ではない。イタミニンジャらは、肉体に与えられた苦痛をニンジャ回復力に変える危険なジツを持っており、彼にとっては剃刀をチューインガムめいて噛むことなど、チャメシ・インシデントなのだ。そしてさらに……「イポン!」ヤモトに回避されたフック鎖が、無軌道大学生を釣り上げる! 17 posted at 16:50:55 【休憩時間】 posted at 16:56:52 【休憩時間終わり】 posted at 18:10:20 マグロめいて宙を舞う大学生!そのカラテは枯れ果て抵抗など不可能。鋼鉄カンオケが近づく。これはただの拷問器具ではない。餌のネギトロ化と連動して、ディスエイブラーの脊髄にインプラントされた激痛装置が働く……サディズムとマゾヒズムがWINWIN関係になったイタミの永久機関なのだ! 18 posted at 18:15:35 「アイエエエエエ!アイエーエエエエエ!」恐怖の叫びを上げる無軌道大学生!コワイ!カラテ十段をドレインされて廃人と化した上に、超嗜虐ニンジャの手にかかってネギトロにされようとは、何たる悲劇!……だがその時!「ザッケンナコラーッ!」「グワーッ!」思いがけない角度からのトビゲリ! 19 posted at 18:22:01 「イヤーッ!」艶のあるフェティッシュ装束に身を包んだそのニンジャは、空中で大学生をキャッチすると、壁を蹴って三角飛びし、ニチョームの仲間が待つビルの前に着地した。それはネザークイーン!「あとお願いね!」エルビスめいた上級マッポと自警団員が飛び出し、大学生を屋内に保護する。 20 posted at 18:30:01 「ザクロ=サン!」ヤモトが叫ぶ。「もう直ったわよ!」ザクロの足首の骨にはサイバネギプスが直打ちされ、痛々しい応急処置が施されていた。完治には程遠いが、これなら戦える。仲間は無論、どんな客でもニチョームで人死には出させない。裁くのはマッポの仕事。それがザクロのポリシーなのだ。 21 posted at 18:42:01 「ウオオオオーッ!?……アーッ?アアーッ!?」ディスエイブラーは餌を前にお預けを食らった犬めいて涎を垂らし、闇雲に暴れ回り、しまいには鎖フックで自傷行為を始めた。だが自らが与えた苦痛では、イタミ・ジツは働かない……クラン外の者からは理解不能だが、それは実際繊細なジツなのだ。 22 posted at 18:51:15 「イタミを!もっと!」空腹の野獣めいて暴れ狂う、ディスエイブラー!鎖が主武器ではあるが、その異常巨体と怪力ゆえ、薄いビル壁程度であればショウジ戸のごとく突き破る。ザクロとヤモトはこの野獣の周囲を旋回するように走り、ビルや商業施設への攻撃を防ぎながら、反撃の機会をうかがった。 23 posted at 19:03:34 ------------- 24 posted at 19:28:17 一方その頃、アマクダリ・セクト地下秘密基地では。 25 posted at 19:28:50 再到着した無人偵察ヘリのカメラ映像、アサルトヤクザの残り人数を示す人型、株価推移、情報統制状況、マッポの動き、デストロイヤー戦闘機再接近までの秒数、交通封鎖状況、ニンジャデータベースを用いたサツバツナイトの正体解析……大型戦略UNIXには、データが目まぐるしく映し出される。 26 posted at 19:38:13 アイサツ時にバイセクターから送信されてきた、サツバツナイトの粗い正面画像。戦略UNIXによって3D立体化されたその顔が緑色のワイヤフレーム上に出現し、アマクダリ・ネットのデータベースに登録された様々なニンジャの頭部3D立体映像と横並びになって回転。明らかに高度な解析技術だ。 27 posted at 19:54:27 だが、そこに現れるのは「不一致な」の文字列のみ。実際、ニンジャ解析は困難だ。ニンジャ個性の大半は、装束、メンポ、武器、名前の四点に集約される。ゆえに正体を偽った場合、暴くのは至難の業。イクサ場で直に見れば、ソウルの痕跡から正体看破も可能だが、地下秘密基地に座していては……。 28 posted at 20:01:09 「サツバツナイトを映せ!他はどうでもいい!どうなんだ!?ニンジャスレイヤーなんだろ!?」チバは苛立っていた。正体の最有力候補は、ニンジャスレイヤー。だが、バイセクターの答えはノー。……プランB移行可能までの猶予は、残りわずか数十秒だ。それを逃すと、襲撃計画全てが水泡に帰す。 29 posted at 20:10:02 ラオモト・チバはIRC通話チャネルをバイセクターに限定し、株価や猶予時間の数字を見ながら叫んだ。「ディスエイブラーが狂乱したぞ!囮にしてプランBを発動できる。バイセクター、お前だけでも戦線離脱しろ!」「その必要はありません」「何故だ!?」「猟犬……は私を逃がさないでしょう」 30 posted at 20:17:45 ラオモト・チバの首筋に、ぞわりと汗が吹き出る。(((猟犬?今、バイセクターは何を口走った?あの機械じみたニンジャが?)))理解不能。チバが本能的に察したのは、フジオ・カタクラにも似た背信の臭い。何か遥か遠くを見て、自分を捨てていこうとする者が放つ、あの独特の……不快な臭い。 31 posted at 20:25:43 「プランB!全ニンジャを抹殺せよ!」チバは立ち上がり、命じた。その眼は、分不相応な力を手にした我儘な少年ではなく、容赦無き帝王の眼であった。「尚そ…」アガメムノンですらも、言葉に詰まり、眼を疑う。ラオモト・カンか武田信玄かと見紛うばかりの覇気を、少年が一瞬だけ放ったからだ。 32 posted at 20:38:01 「……英断を支持いたします」アガメムノンは不気味なほど静かな笑みを浮かべ、プランBの移行を承認した。その腹の底は窺い知れない。そして……ナムアミダブツ!戦略UNIXに映し出されるのは、タケウチ・ウイルス改善弾頭が搭載されたブツメツ・ミサイル!着弾までの長い秒読みが始まった! 33 posted at 21:40:04 ----------- 34 posted at 21:40:22 「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」バイセクターに対し、連続で叩き込まれるサツバツナイトのカラテ!義体の要所要所が破壊され、黒漆塗りの破片が飛び散る。だが敵は倒れない!むしろカラテを高めつつあった!「イヤーッ!」「イヤーッ!」真正面から激突するチョップ! 35 posted at 21:49:22 両者の右腕が小刻みに震える、鍔迫り合いめいたカラテ!「あの時、カイシャクしておくべきであったな」サツバツナイトがカメラアイを睨んだ。瞳の無い、底知れぬ機械の闇。「もはや、恐怖も憂いも無い」バイセクターの……否、ヒュージシュリケンの平淡な電子音声が、破壊された顎の奥で鳴った! 36 posted at 21:59:48 それは虚勢でもハイクでもない。彼の半電子化されたニューロンは、地下基地から発せられた全IRC通信を理解していた。味方の犠牲すら厭わぬプランBの強引な発動。これぞ黄金時代のラオモトの采配。もはや憂いは無い。「……憎悪だけがある!」直後、サイバネ上半身が360度回転!アブナイ! 37 posted at 22:08:47 「イヤーッ!」鍔迫り合いの力をジュー・ジツで受け流し、カラテへと変えて、バイセクターは回転チョップを繰り出した!「サツバツ!」だがネオサイタマの死神に二度同じ手は通用しない!咄嗟に体勢を整えこれを受け止める!再度の鍔迫り合い!「……私の中にもある。貴様らへの憎悪と、狂気だ」 38 posted at 22:15:14 「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ナムアミダブツ!激しいカラテの応酬! 39 posted at 22:16:52 「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ついに腹部への重い一撃!体勢を崩し後ずさるバイセクター!間髪入れずサツバツナイトが踏み込む! 40 posted at 22:19:01 「イイイヤアアアアーッ!」それは伝説のカラテ技、ポン・パンチ!サツバツナイトの拳がバイセクターの右脇腹を破壊し、サイバネ肋骨が粉砕される!「グワーッ!」バイセクターの義体はワイヤーアクションめいて吹っ飛び、路地裏からメインストリートへ吐き出された!「……ディスエイブラー!」 41 posted at 22:24:48 仰向けで痙攣するバイセクター。「サツバツ!」一気に頭部に追い打ちを加えてカイシャクすべく、サツバツナイトが飛びかかってきた!「イヤーッ!」間に割って入るフック付き鎖!サツバツナイトはバイセクターの頭が一瞬前まで転がっていた場所のアスファルトを膝で割り、前転で着地の隙を消す! 42 posted at 22:30:30 「……スクエイク、退避を……」電子的デジャブで意識を混濁させながら、鎖フックに引っ掛けられたバイセクターの義体は、宙を舞った。「イポン!」狂乱したディスエイブラーが野獣の如く叫ぶ。おお、ナムサン!何たるアニマルめいた行動か!最後のシックスゲイツは、カンオケへと吸い込まれる! 43 posted at 22:36:52 命令どおり、カンオケの蓋が閉じられ、内部の刃が回転する!メキメキという破砕音!カンオケと背中を繋ぐ円筒状のサイバネ機構が、ディスエイブラーの激痛装置を作動させる!「グワーッ!」バイセクターの絶叫!「……アーッ!イイーッ!」ディスエイブラーは激痛を感じ、喜びに打ち震えた! 44 posted at 22:53:43 ヤモトとザクロは敵の共食いめいた行動に困惑しながら、ディスエイブラーの周囲を旋回していた。攻撃の糸口が掴めない。そこへサツバツナイトが加わる。三者は同心円状に旋回し、無言で頷き、闇雲に振り回される鎖を回避しながらスリケンを投擲した。マストドンを狩るかのごとく。 45 posted at 23:01:32 ヤモトとザクロは憔悴しきっている。敵はイタミニンジャ。一撃でケリをつけねば。サツバツナイトの眼に、無慈悲な炎が燃える。そして、跳躍。背後からのドラゴン・トビゲリ。スローモーション化する世界。巨漢の後頭部を捉える。かつては二人で。いまは独りで。だが、センセイの教えは胸の内に。 46 posted at 23:10:48 「イヤーーーーーーーーーッ!」彼の足先は、巨漢の頭の中心線を僅かに外している。それでいい。回転が必要なのだ。通過。「グワーーーーーーーーーッ!?」ディスエイブラーの頭が180度、360度、720度……まだ回るというのか!?おお、ナムアミダブツ!1080度回転し、ねじ切れる! 47 posted at 23:16:43 スローモーションが終わる!「サツバツ!」着地するサツバツナイト!背後では、ディスエイブラーの頭がシャンパンの栓めいて上方へと勢い良く飛ぶ!間欠泉のごとく吹き上がる鮮血!だが……爆発四散しない!カンオケは未だ作動している!おお、心臓の弱い方はこのページをめくらないで戴きたい! 48 posted at 23:28:06 コワイ!巨漢は首を失いつつも鎖を振り回し、サツバツナイトに猛然と迫ってきたのだ!コワイ!それはイタミ・ジツのなせる技か!?あるいは、拷問カンオケ内で責め苦を味わうバイセクターが、妄執めいた超常のカラテでそれを操っているのか!?はたまた、その両方なのか!?いずれにせよコワイ! 49 posted at 23:32:23 「……おったのう、昔、貴様のような手合いが……」サツバツナイトの目が赤黒く光る。メンポの奥で口元は愉悦に歪む。そう言い終わらぬうちに、彼は両眼の赤黒い光の軌跡を残しながら、後方へと駆け、左右のフック鎖を回避し、首を失ったディスエイブラーの肩を飛び越えて、背後に回り込んだ。 50 posted at 23:36:03 それは一瞬の出来事であった。サツバツナイトは拷問カンオケの蓋を破壊し、ニンジャソウルの痕跡を残すサイバネ義体を強引に引きずり出したのだ。ネギトロ装置が止まり、油が切れたかのように、ディスエイブラーの動きが鈍くなってゆく。 51 posted at 23:40:30 虫の息のバイセクターは、電子音声でうわごとを吐き続ける。「……スクエイク、アースクエイク、それでいい、俺たちの勝利だ……ミサイルが……全てを……アースクエイク、アース……」「イヤーッ!」その悪夢に帳を下ろすかのごとく、サツバツナイトはサイバネ頭部にカイシャクを加えた! 52 posted at 23:43:54 「……サヨナラ!」ヒュージシュリケンは、黒漆塗りの金属に囚われた過去の亡霊は、ついに爆発四散を遂げた!その直後、空中から落下してきていたディスエイブラー頭部も断末魔の叫びを上げる!「……サヨナラ!」続けざまに爆発四散!粉じみた爆風を浴びて顔を覆う、ザクロとヤモト! 53 posted at 23:46:52 爆煙が晴れると、サツバツナイトの姿は消えていた。「そんな、まさか……巻き込まれて?!」周囲を見渡すザクロ。「……ザクロ=サン、あれ!」ヤモトが斜め上方の空を指差す。ニンジャ動体視力は確かに捉えた。点のように小さな戦闘機の機影と、彼女の世界に終わりをもたらす一発のミサイルを! 54 posted at 23:54:39 「イイイイヤアアアアーーーーーーーッ!」あれはサツバツナイト!ザクロが指差す先には、ニチョームの家々の屋根を飛び渡り、ミサイル飛来方向めがけて長大な助走を始めるサツバツナイトの姿が!一体何をしようというのか!?いかなニンジャとて、この行動はヤバレカバレ以外の何物でもない! 55 posted at 23:59:36
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last update 05/28 02:05
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