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» 2010年10月21日
「ユーレイ・ダンシング・オン・コンクリート・ハカバ」 エピソード3 posted at 00:07:11 (あらすじ)ジンジャ・カテドラルを改装して作られた背徳的なサイバーゴス・クラブ「ヤバイ・オオキイ」で、今週もまたユーレイ・ナイトが催されている。そこに乱入してきた五十代の泥酔サラリマンは、エリート・ユーレイの1人であるカーディナル・ダークソード(本名イチタロウ)の父親であった! posted at 00:09:47 サラリマンは会社が買収されたことを息子に告げ、「ヤバイ・オオキイ」のホールで乱闘を始める。強力なカラテ・マスターである彼の前には、メキシコ人セキュリティ軍団では歯が立たない。そこへ、ソウカイ・シンジケートのニンジャにして、メキシコ人傭兵団のボスでもあるスコルピオンが姿を現した。 posted at 00:11:06 客の1人に化け、ソウカイヤとオムラ・インダストリとヨロシ=サン製薬の間に存在する癒着関係を探っていたナンシー・リーは、思いがけぬニンジャの登場に歓喜する。ナンシーはサイバースペースにダイヴし、IRC緊急信号を送るが、ニンジャスレイヤーからの返答はない。何故か? posted at 00:13:25 ニンジャスレイヤーこと復讐の戦士フジキド・ケンジは今、うらぶれたファミリーマンション「ロイヤルペガサス・ネオサイタマ」の暗い自室で湿ったフートンに包まり、独り過去の亡霊と戦っていたからだ……。(あらすじ終わり) posted at 00:15:03 スコルピオンに放り投げられ、壁にしたたかに叩きつけられたカラテ・サラリマンは、背中と頭からおびただしい血を流しながら立ち上がり、カラテの型を決めた。「イヤーッ! イヤーッ!」ゆっくりと迫り来るスコルピオンを威圧するためだ。だが、その気合もニンジャには通じない。 posted at 00:20:24 「カラテ野郎、よく聞きな」スコルピオンは指の骨をバキバキと鳴らしながら、キモンの隅にサラリマンを追い詰める。「オレは12から25まで、メキシコ重犯罪刑務所で過ごした。当時オレと一緒に刑務所に入ったギャング団の仲間は、3人に1人のペースで死に、5年後に生き残ったのはオレ1人だった」 posted at 00:21:52 「イヤーッ!」サラリマンは相手の話も聞かずに、ジンジャ・カテドラルの壁を蹴って三角跳びをくり出し、痛烈なジャンプキックを敵の顔面に食らわせた。 「グワーッ!」不意を突かれたスコルピオンのニンジャ頭巾が剥げ、無骨なメキシコ人の顔が半ば露になる。メキシコライオンのように凶悪な顔が。 posted at 00:25:38 「コロセー! コロセー!」ユーレイ・ゴスたちは、ブラッディなショウタイムに狂喜乱舞した。ホールに鳴り響く非人間的なサイバービートは、さらに速度を増す。大仏の代わりに据え付けられた大スクリーンには、ライブ中継されるサラリマンの顔と、「ナムアミダブツ」の不吉な赤文字が映し出される。 posted at 00:29:06 「イヤーッ!」サラリマンは、中腰の姿勢で両手を痙攣させながら前に突き出すシコの構えを取り、スコルピオンを威嚇した。テーブルの下に隠れたイチタロウは、痛みに耐えながら目をこすった。最高にダサいネズミ背広を着ていたはずの父が、カラテの鬼と化し、すぐそこでニンジャと殺し合いをしている。 posted at 00:37:02 会社をクビになったこと、自分にまで借金返済の手伝いをさせようとしたこと、そして何よりIRCアカウントをハッキングし、挙句の果てには自分に暴行を加えた父の身勝手な行動は、絶対に許せない、とイチタロウは怒りに燃えていた。 posted at 00:40:17 だがそれと同時に、目の前で死闘をくり広げている父の姿を見ていると、空虚なユーレイの胸にはおよそ不似合いな、無骨で野蛮な衝動がふつふつと湧き上がってくるのだった。おお、ナムアミダブツ! それは、あまりにも危険な英雄的衝動である! posted at 00:49:01 血を唾とともに吐き捨てながら、スコルピオンは不敵な笑いを笑う。「カラテ野郎、オレは武勇伝を遮られんのが一番嫌いなんだよ」そして腰に吊った二本のナイフを両手で抜き、その刃を地面と水平に構えた。ナイフを持つ両腕も水平に大きく広げ、そのまま腰を落とす。この奇妙な構えは何であるか? posted at 00:53:32 中腰の状態で、しかし一分の隙も無いまま、スコルピオンはサラリマンめがけ滑らかに迫ってくる。江戸時代に途絶えたニンジャ・クランのひとつ、サソリニンジャ・クランの構えだ。スコルピオンに憑依したニンジャ・ソウルは、恐るべき暗殺剣の使い手、サソリニンジャ・クランのゲニンだったのであろう。 posted at 00:57:37 サラリマンは間合いを保ちながら、敵の動きを観察する。「「「何という構えだ。まったく隙がない。奴はまるで巨大なハサミを広げて獲物へ迫るサソリだ。恐るべきメキシコライオンサソリだ。……しかし見切った! 右のナイフの動きはフェイントだ。奴はきっと左から攻撃を仕掛けてくるに違いない」」」 posted at 01:03:50 「イヤーッ!」意を決し、サラリマンはチョップの構えのまま突き進んだ。「アミーゴ!」それを右から迎撃する、痛烈なナイフの一撃! 「グワーッ!」サラリマンは一瞬にして、右手右足を深々と突き刺された。「グワーッ!」激痛のあまり床を転げまわる。「グワーッ!」このままでは殺されてしまう! posted at 01:05:58 「イヤーッ!」残った力を振り絞り、ネックスプリングで立ち上がると、サラリマンはパンチの構えのまま突き進んだ。「「「次は右から攻撃をくり出してくるに違いない!」」」 posted at 01:07:38 「アミーゴ!」それを狙い済ましたように左から迎撃する、恐るべきサソリの一撃! 「グワーッ!」サラリマンは一瞬にして全身20箇所をナイフで突き刺された。「グワーッ!」激痛のあまりサラリマンは床を転げまわる。ヒノキ材の床板が血で染まる。「グワーッ!」このままでは殺されてしまう! posted at 01:08:53 「イヤーッ!」最後の力を振り絞りネックスプリングで立ち上がると、サラリマンはジンジャ・カテドラルの壁で三角跳びを決めてから、イナヅマのようなジャンプキックをくり出した。「「「サソリのハサミは水平方向にしか動かない。ならば上から!」」」 posted at 01:11:02 「アミーゴ!」なんとスコルピオンは、オジギをするように前傾姿勢を取ってトビゲリをかわした上に、逆立ちをするように高く蹴り上げた右足の裏で彼を迎撃したのだ。恐るべきサソリの尾の一撃! 「グワーッ!」サラリマンは一瞬で全身の骨が折れた。 posted at 01:12:16 「コロセー! コロセー!」ユーレイ・ゴスたちは、さらなる流血に大興奮した。ホールに鳴り響く非人間的なサイバービートはさらに速度を増し、大仏の代わりに据え付けられた巨大スクリーンには、ライブ中継される血まみれのサラリマンの映像と、「インガオホー」の赤いカタカナが刻み付けられる。 posted at 22:50:53 #NS_GOKUHI:NANCY:何をしているの! ニンジャスレイヤー! このままでは、あのサラリマンが殺されてしまう! いくらカラテのブラックベルトでも、ニンジャが相手では勝てるはずが無いわ!/// ナンシーが絶叫する。だが、依然としてニンジャスレイヤーからの応答は無い。 posted at 22:52:09 「あなたたち、あのニンジャを止めなさい!」業を煮やして理性を欠いたナンシー・リーは、周囲のユーレイ・ゴスたちにヒステリックに怒鳴り散らす。ようやく掴みかけたスキャンダルの尻尾を、こんなところで逃がしてたまるものか。「この人数なら、時間稼ぎにはなるでしょう!」 posted at 22:53:28 しかし、ユーレイ・ゴスたちは人間的反応を示さない。彼らはバーカウンターで供されるズバリ・リキュールやバリキ・カクテルのオーバードーズによって、トリップしているからだ。彼らはサイバーテクノに合わせて踊り狂い、「コロセー! コロセー!」とネンブツのようにくり返すだけなのである。 posted at 22:56:15 キモンでは、二者の戦いが佳境に入っていた。いや、もはやほとんど一方的なリンチである。サラリマンはハンニャ・ヴァンパイアが描かれたキモン・テーブルの上に横たわり、死んだマグロのように無力だった。スコルピオンは殺人板前のように繰り返し彼にナイフを突き立て、ツキジじみた血飛沫を飛ばす。 posted at 23:10:26 スコルピオンは極度のサディストであった。重犯罪刑務所で拷問を受け不能になった彼は、ナイフで敵をいたぶることによってのみ快感を得られるのだ。傷跡だらけの唇に笑みを浮かべながら、スコルピオンは唸る。「17の時、クリスマスの夜だった。オレは壁に追い詰められ、全裸にされ、背中に刺青を…」 posted at 23:14:09 「イヤーッ!」 突如、スコルピオンの背中に繊細なゴシックナイフが突き立てられる。「グワーッ!」不意を突かれ激痛にあえぐスコルピオン。 振り向くと、そこには違法薬物シャカリキ・タブレットのオーバードーズで勇気を奮い立たせ、痛みと恐怖を克服したカーディナル・ダークソードが立っていた。 posted at 23:17:29 カーディナル・ダークソードはもう一本のゴシックナイフを抜き、切先を向けてスコルピオンを威嚇した。だが、ニンジャの前でそんなこけおどしは何の役にも立たない。スコルピオンはサソリ・ファイティング・スタイルのまま迫り、左右からのナイフの応酬で彼の全身を切り裂いた。「アイエエエエエ!」 posted at 23:32:10 肩に排気ホースを備えた戦闘服のような衣装に身を包み、テクノ・オコトを弾き鳴らすVJカンヌシが、「ナムサン」とインカムに向けて絶叫すると、その言葉がかすれた赤文字となってスクリーン上に躍る。サイバービートに合わせた真白なライトの明滅が、キモンの死闘を前衛映像作品のように照らし出す。 posted at 23:35:49 精神の半分をサイバースペースにダイヴさせたまま、ナンシーはキモンでくり広げられる殺戮ショウを盗撮し続けた。ピュリツァー賞級の凄惨な光景のはずなのに、純白のプラスチックのごとき無機質な音と映像に圧倒され、恐怖の感覚が麻痺してゆく。自分も実体無きユーレイであるかのような錯覚に陥る。 posted at 23:48:49 「マズイわ、本格的にマズイのよ…」未だニンジャスレイヤーからの応答は無い。これ以上サイバー・マッポ課の監視の目を逃れながらIRCチャットを続けるのは、テンサイ級ハッカーの腕をもってしても困難だろう。前頭葉のニューロンがチリチリいい始めた。 ……その時、誰かがぽんと彼女の肩を叩く。 posted at 23:50:18 「ドーモ、ナンシー・リー=サンですね?」 彼女が振り向くと、そこには黒尽くめのニンジャが立っていた。ニンジャ頭巾からはウドンじみた何本ものLANケーブルが延び、背中に負った銀色の通信デヴァイスに接続されている。その目元は360度を監視できる円環型サイバーサングラスに隠されている。 posted at 23:54:20 「初めまして。ソウカイ・シンジケートのネット・セキュリティ担当、ダイダロスです」と、ニンジャは機械合成音のごとき不吉な声を発した。 ナンシー・リーは背筋が凍りつくような恐怖と敗北感と死の予感を味わう。ウカツ! ここにいたソウカイ・ニンジャは、スコルピオン1人ではなかったのだ! posted at 23:55:45
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last update 05/28 02:05
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