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» 2012年01月18日
髪を切りに行く話 (1) 下北沢へ髪を切りに行きます。これから向かう美容室は学生の終わり頃から通っています。当時から僕は川崎に住んでいたのに、わざわざ下北沢まで髪を切りに行っていました。それは職場が渋谷にありついでに寄り易かったためでしたが、それ以上にオシャレそうだったからです。 posted at 14:18:43 髪を切りに行く話 (2)学生時代、いわゆる脱オタを果たそうと考えた僕は、手始めに美容室に行くことを決めたのです。ならばいっそ、できる限りオシャレっぽいところに行くべきだと考えた若い僕は下北沢へと足を運んだのでした。 posted at 14:19:06 髪を切りに行く話 (3)元々店員と話すことは苦にならかったとはいえ、美容室に入ることは大変な勇気が要りました。なにせ美容室に入るということはオシャレ人間のすることだったからです。 posted at 14:19:26 髪を切りに行く話 (4)オシャレ人間ではない自分がぬけぬけと、よりによって下北沢の美容室に入るなどということは、オシャレ人間たちへの挑戦であり『下北沢』への挑戦でありました。 posted at 14:19:46 髪を切りに行く話 (5)その頃、本気でヘアサローンの人間である『スタイリスト』などといった連中は、こんな僕を笑うに違いないと信じていましたし「オシャレぶってんじゃねーぞボケナス」と叫ぶ内なる声は無視できるものではありませんでした。これはまさしく冒険でした。 posted at 14:20:24 髪を切りに行く話 (6)オシャレ玄関を非オシャレ人間が抜け、オシャレ人間に迎えられた非オシャレ人間がオシャレハンガーに非オシャレ上着を預け、オシャレチェアーに非オシャレジーンズで腰掛け、オシャレスタイリストに非オシャレゴミカスが依頼するわけです。「いっちょオシャレにしてくんな」と posted at 14:20:48 髪を切りに行く話 (7)これはツラい。しかもツラいのに床屋より高い。床屋なら千円で切れるところもあるというのに、それよりずぅっと高い金を払って『カット』していただかなければならない。茶の一つも出ないクセに!(後に知りましたが頼めばお茶はくれました) posted at 14:21:09 髪を切りに行く話 (8)しかしそれでも行かなくてはなりません。なぜなら僕は女の子にモテモテになる必要があったからです。女の子にモテモテになるには美容室に行くしかありませんし、美容室に行けば女の子にモテモテになるに決まっているのです。 posted at 14:21:27 髪を切りに行く話 (9)これは生まれ変わりの儀式でした。そしてそれがツラければツラいほどに、儀式の効力は高いものに感じられました。美容室に行くことは、すぐに叶えられる童貞喪失だったです。 posted at 14:21:47 髪を切りに行く話 (10)さて、いざ美容室へ行かんと決めた僕は当然のことながらインターネットをあらん限り駆使してヘアサローン情報を収集しました。それはさながら翌日にソープへ行くと決意した男のそれでした。 posted at 14:22:08 髪を切りに行く話 (11)しかし、探せども探せども決め手がありません。なぜならば美容室に求める要素など、なに一つ持っていなかったからです。強いて挙げるならば「僕のことを馬鹿にする店員がいない」が条件でしたが、不思議とヘアサロン検索サイトにその項目はありませんでした。 posted at 14:22:31 髪を切りに行く話 (12)このままでは諦めてまたわけのわからん非オシャレ人間の巣窟である床屋なんぞにすごすご向かうハメになると考え、恐怖した僕は、とりあえず店を決めずに下北沢へ行ってみるという、勇敢な決断をしました。そして実行しました。下北沢へ行ったのです、髪を切りに。 posted at 14:23:03 髪を切りに行く話 (13)店は適当に歩き回っていて目に付いたところに決めました。何分歩いたかは覚えていません。辺りが暗くなっていたことは覚えています。いくつの美容室の前を素通りしたかは数えてもいませんでした。 posted at 14:23:58 髪を切りに行く話 (14)いざ美容室に入ってからのことは何も覚えていません。おそらく髪を切ったのでしょう。店員に馬鹿にされた記憶もありません。おそらく馬鹿にされなかったのでしょう。 posted at 14:24:15 髪を切りに行く話 (15)そうして美容室に通うようになった僕ですが、意外なことにすぐに女の子にモテモテにはなりませんでした。どうやらそういうことでもないようです。それから大体五年ほどの後に、恋人ができました。 「髪を切りに行く話」おしまい。 posted at 14:25:04
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last update 05/28 09:54
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