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2009年10月07日(水) 6 tweets

ソース取得:

@sasa 「ナオ、」 「…んー…」 なかなか起きない。昨日はあの後、二人で飯を食べに行って、ナオが俺の家に泊まって。 #twnovel

posted at 17:16:49

@sasa 酔っていたからあまり記憶にはないんだけど布団にくるまっている隙間から見えるナオの上半身に服が無いということは、やることはやったんだろうと思う。まあ今日は休養日だし、よかったかななんて勝手に納得しながら、俺はナオを起こすことを諦めてベッドから離れた。 #twnovel

posted at 17:17:11

@sasa 時計を見ると十二時を過ぎていた。何時間寝てるんだろう。昨日何時に帰ったかも定かではない。…そんなに酔ってたのか、俺。でもまあ、昨日が昨日だから、しょうがないよなあなんてまた勝手に納得したりして。カーテンを開けたら眩しい光が入ってきた。。 #twnovel

posted at 17:17:41

@sasa 世間はもうめまぐるしく動いているらしい。テレビをつけたら当たり前だけれど昼の番組がやっていた。暇だし、座って見るかなと思っていたら、寝室から聞こえる俺を呼ぶ緩い声。 #twnovel

posted at 17:18:17

@sasa ようやく起きたらしい。俺はテレビを消して、寝室へ向かった。 「おはよう」 「…何時…?」 「十二時…二十五分」 「…まだええか」 「え?よくな…うわっ、」 #twnovel

posted at 17:18:57

@sasa 腕を引っ張られ、俺はベッドに逆戻り。ナオは俺の腕をぎゅうと握りしめてすやすやとまた眠りに落ちてしまった。なんだか幸せそうな顔で、こっちまでしあわせになる。そっとナオのやわらかな髪を撫でて、俺も目を瞑った。仕方ないなあ、もう一眠りするか。 #twnovel

posted at 17:19:36

2009年09月29日(火) 29 tweets

ソース取得:

@sasa 流れていく景色に目をやる余裕なんてここ最近は無かったな、と東野は思った。 吊革を掴むこともなく、鮨詰めのような狭苦しさもなければ、不快な空気が充満しているわけでもない。 網戸越しに入り込んでくる土や草の匂いは、忘れていた郷愁を彼に思い起こさせた。 #twnovel

posted at 01:27:44

@sasa 東野がワンマン車両のローカル線に乗るのは久々だった。 彼が学生だった頃と同じ路線。 あの頃の彼はこうした日常に心癒されることは無かった。 それが当たり前だったからだ。 しかし今の彼は安らぎを感じている。 極端な重労働をしているわけではない。 #twnovel

posted at 01:27:54

@sasa 大勢と同じように都会に出て、大勢と同じように一サラリーマンとして働いているだけだ。休みが無いわけでもなかったし、実家へ帰る機会はこれまで何度もあったのだ。浴衣姿がちらほらと見られる車両は不規則な音と揺れを与えながらゆっくりと確実に進んでいく。 #twnovel

posted at 01:28:07

@sasa 薄暗くなってきた窓の外の風景が記憶の中のそれと変わらないことに彼は何故か小さな安堵を覚えた。 自分が変わろうともこの田舎は何も変わっていないのだ、と故郷への想いが湧き出てくる。 #twnovel

posted at 01:28:25

@sasa 会社のお盆休みに合わせて帰ってこい、という母親からの電話が毎年恒例なら、彼がどうでもいい理由を並び立ててその誘いを断るのも毎年恒例だった。 彼はバッグの中から一枚の葉書を取り出す。 それが久々の帰省を決断させた理由だった。 #twnovel

posted at 01:28:36

@sasa 高校を卒業してからもう五年も経つんだな、と懐かしい顔ぶれを思い出しながら感慨に耽る。 この葉書、同窓会の知らせを送ったであろう当時の委員長を思い浮かべようとしたが、彼女の飾らない仕草は記憶の霧に紛れてよく思い出せなかった。 #twnovel

posted at 01:28:47

@sasa それと同時に夜空に広がる大きな大輪が脳裏に浮かんだ。 そういえば丁度今の時期か、と思う。 もう何年も見ていない、故郷の空に広がる色とりどりの花。 うだる暑さは同じでも、頭上に開けた輝く星空と聞こえてくる虫の声が違う夏を感じさせる。 #twnovel

posted at 01:28:59

@sasa 真っ直ぐ家に帰る予定を変更して、東野は人々と同じ行き先へと足を向けた。 ここからだと十分くらいだろうか。 有名なわけではない。 大々的なわけでもない。 それでも多くの人間が期待に溢れてその道を進んでいた。 #twnovel

posted at 01:29:24

@sasa 東野は自分にはあの頃のようなわくわくが無いな、と冷めた自分を客観視しながら、楽しそうに駆けていく金魚柄の浴衣の少女を眺める。 そういえば彼女も同じような柄の浴衣だったなと思う。 髪をアップにした彼女がほのかな柑橘系の香りを纏っていたことも思いだせた。 #twnovel

posted at 01:29:34

@sasa 内海翠は真面目な学生だった。 委員長気質で、煙たく思う男子も多くいたのは間違いなかった。 東野もその中の一人だったし、最初から良い印象を持っていたわけではなかった。 眼鏡の奥の知性を持った瞳も、薄い唇も、意識しはじめたのは付き合いはじめてからだった。 #twnovel

posted at 01:29:50

@sasa 小高い丘には老若男女、この田舎町にしては多くの人が集まっていた。 皆が皆川べりのほうへと目を向けていまかいまかと夜空に花が咲くのを待ち望んでいる。 そう、あの時の東野と内海のように。 #twnovel

posted at 01:30:26

@sasa 東野は当時のことを一足一挙動まで思い出そうとして目を閉じようとする。そこで肩に手をかけられ、身体を大きく震わせた。「!?」「……なんだよその反応」 #twnovel

posted at 01:30:54

@sasa 振り返った先には飄々とした顔の男が立っていた。 記憶の姿から五年ほど年を取っていたが、自然に名前を呼ぶことが出来た。 「……普通は手をかける前に声をかけないですか?」 「悪いな。ずいぶんと久しぶりやな東野」 「まあ、そうですね」 #twnovel

posted at 01:31:44

@sasa 東野の言葉に越智は顎に手をやりながら笑った。 その笑いに釣られるようにして東野も笑った。 旧友との再会が一日早く訪れたことに一瞬驚きながらも、東野は懐かしい顔に自然と暖かい気持ちになった。 #twnovel

posted at 01:32:46

@sasa よく考えてみればこの小さな町の花火大会にくれば知った顔にも会うよな、と納得する。 そしてそのまま越智の横の顔に目を向けて、再び納得した。 「山口さんも久々です」 「昔みたいにぐっさん、で良いよ」 #twnovel

posted at 01:33:10

@sasa 越智と手を繋いでいたショートカットの女性はそう言ってからからと笑った。 大人びてはいてもその笑顔は当時と変わらなかった。 高校時代から付き合っていた二人は共に地元に残っており、今も仲睦まじいことに東野は小さな幸せを感じた。 #twnovel

posted at 01:34:16

@sasa 学生時代の頃の楽しい時間が蘇ってくるように思えてきて、彼は二人の手元を見ながら言った。 「まだ結婚してないんですか?」 この言葉に越智は苦虫を噛み潰したような表情になり、山口はにこやかな表情を崩さないままゆっくりと首を回した。 #twnovel

posted at 01:34:41

@sasa 「東野が帰ってきたんだから内海さんにも帰って来て欲しかったな。やっぱり会いにくかったのかなあ」 山口が呟いた。 「悪いね、ぐっさん」 「気にすんな東野。今のはぐっさんがデリカシーに欠ける」 #twnovel

posted at 01:36:06

@sasa 東野の呟きに、越智はバツの悪そうな顔をして東野の肩を組んだ。 そんな彼の肩を組み返して東野は明るい声で言った。 「フクスイ盆に帰らずっですね」 「……自虐ネタにしては上手いな。つーかその渾名も懐かしいな」 #twnovel

posted at 01:36:34

@sasa 内海翠。 一部の男子間での密かな渾名は堅物フクスイだった。 東野が翠、と呼ぶようになったのは付き合い始めてからだったし、それまでは彼もフクスイと呼んでいた。 #twnovel

posted at 01:37:12

@sasa この距離感が縮まっていった当時は幸せの絶頂だったが、今はそれを思い出す度に胸が締め付けられていた。 それでも彼はこうして思い出の地へと誘われている。何かはわからない、そんな小さなものが東野の心の中で渦巻いていた。 #twnovel

posted at 01:37:37

@sasa スピーカーから声が響き渡り、周囲のざわめきが一瞬止まる。 夜の闇が明るく照らし出され、遅れてきた音と歓声、拍手が重なった。 それは東野が昔見たものと同じだった。 無論、形も大きさも違う。 #twnovel

posted at 01:38:20

@sasa だが、闇に咲く焔の花は胸の奥にある琴線に柔らかに触れて、ひとしおの感動を与えていた。間を置いては様々な花弁が咲き誇っていき、その度に歓声があがる。越智が囃したて、山口は彼に寄りそうようにして眺めている。感動を共有することは素晴らしいことだ。 #twnovel

posted at 01:39:36

@sasa 知ってはいるが、それを手放してしまったことに今さらになって再実感し、東野はこの地に戻ってきたことを後悔した。 尚も咲き続けていく打ち上げ花火は彼の心模様とは逆だった。 それでも魅入られてしまう美しさに彼は目が離せない。 #twnovel

posted at 01:40:13

@sasa 感動と悲しさが入り混じった複雑な胸中を遅れてくる重たい音が叩いていく。 「綺麗やね」 その声は唐突だった。 #twnovel

posted at 01:40:33

@sasa 東野に時を一気に遡ったような錯覚に陥らせるほど、喧騒の中ではっきりと耳に聞こえた涼しげで純粋に感動を乗せている。 彼はゆっくりと首を回した。 「綺麗やね」 繰り返されたその言葉の主は紛れも無く内海だった。 #twnovel

posted at 01:41:06

@sasa その瞳は間違いなく彼を捉えている。 彼女になんていうべきか。 逡巡して、彼はただ笑い返した。 彼女はもう一度にこりとして頭上の花に想いを馳せる。 #twnovel

posted at 01:41:34

@sasa 東野の元に、当時と同じように、豪快な音を打ち消すほどの鼓動が蘇ってきた。 ぱぁっと咲いて、静かに消える。花火って、恋みたいだよね。 彼はその彼女の言葉が嫌いだった。 事実その通りになってしまったのだから反論は出来ないはずなのだ。 #twnovel

posted at 01:42:04

だがそれでも。 恋の美しさに散り際は伴わない、そんなことを言い返したくなってしまったのは真夏の夜の大輪の持つ魔力なのだろうか。 五年越しに燃え上がったこの想いは消えそうにないことを自覚していた。 #twnovel

posted at 01:43:22

 

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